雨あがりのこと
今年の梅雨って、「まだアンタいるの?」という感じで、
いつまでも去らないままでいる。
雨が朝から散々降って、陽が落ちる頃にようやく晴れた日のこと。
どこに行く予定もなく、トイレットペーパーを買って、
両手に抱きしめるようにして歩いていた。
通り過ぎる、普段着のままの子供とそのお母さん、お父さん。
なにやら深刻な話をしていそうなおばさんたち。
ワンコ連れの短パンのお兄さん。
こぎれいなカップルが手をつないで歩く。女の子の唇には真っ赤な口紅。
涼しくも優しいぬくもりのある風が吹き、
羽根のように軽い気持ちになった。
目に入るすべてのものが、キラキラしてるように見えた。
なんでこんなに満たされた気分になるんだろう、
トイレットペーパーを抱きしめながら考えた。
答えはでなかったけれど、
心が静かな美しい湖のように、穏やかに満たされてる。
誰かが言った言葉を思い出した。
「雨上がりは、空が掃除されて、世界がキレイに見える」
そうだとしたら、雨も悪くないと思った。
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