あなたは自分が思うより
ポートレートを撮影し始めたのは、四年ほど前。
職場の同僚に頼まれて、ランチ一回分をギャラに、お昼休みに撮った。
彼女はかつてモデルをしていたこともあって、
私の素人腕でも上手に撮れる気がして、簡単にOKした。
確かその日は夏の終わりで、汗だくになって撮影したように思う。
モデルの彼女に「大丈夫?暑いからもういいよ」と言われても、夢中になって撮影した。
それまで風景を中心に撮っていたけれど、
人を撮るとは、こんなに楽しく、ぐいぐい引き込まれるとは知らなかった。
シャッターを押すたびに、彼女がキレイに輝いていくような気がして、
それがめちゃくちゃ嬉しかった。
それからいろんな人を撮る機会があって、そのたびに人を撮る難しさも知ったように思う。
自分から見える相手の美しさを、
どう写し取ればいいのだろうかと考える。
母が昔、よく言っていた。
「昔、お父さんが鏡をのぞきこんで見ているのをみて、ハッとして言ったの。
“鏡より、私が見ているお父さんの顔のほうが、何倍も素敵だよ!”って。
でも、お父さんは、自分の顔を、鏡でしか知らないの。
それって、とても悔しいことよね」
写真の人は、今年の夏に撮影させていただいた方。
(とても物静かでシャイな方でしたが、ブログなどに載せていいですよ、
と言ってくださったので、載せました。)
「これ、私?って思いました」と言ってくれた。
その言葉だけで、十分。
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